先日、お茶のお稽古の帰りに、表参道にある太田記念美術館に行ってきました。
小さな美術館ですが、好きな場所でよく行きます。
「運ぶ浮世絵」~車・船・鉄道(2022年10月1日〜26日)、広重安藤や葛飾北斎の江戸時代から明治時代にかけて、人が動いている版画を観ることができました。
面白かったのは、江戸時代の日本人は立っているだけでも、なんだかモゾモゾ細胞が動いている感じが伝わってきます。しかし、文明開花に伴い現れた西洋人は、そういった動きは感じられず、むしろ凛として静止している感じが伝わってきたことです。
画家というものはすごいものです。その絵の背景に織り込められた動きというものをきちんととらえているんですね。
かつての日本人はなにかと伴に動くという身体の感受性を大切にしてきたと思います。
単独一人でもありながら、自然と共の一人である。ここでいう自然とは、天地であり、人々であり、植物や生物でもありましょう。
もしかしたら、過去の想いでもあり、人の想いでもありましょう。
葛飾北斎は名前を30回変えたと言われています。さらに引越は93回、改めて考えてみるとかつての人は静止して安静でいるというより、時間と空間軸、そしてそれを超えたメタな次元を動き続けていることに生命の理(ことわり)を感じていたのではないかと思います。
人間守りに入ると、固まってしまいますね。
目が悪くなってくる。肩が凝ってくる。腰が痛くなる。悩みが深くなる。元気がなくなる。お金が溜まる。
そこには動きがなくなっていく姿が重なっていきます。
身の回りで起こっている、動きを感知すれば、何かが変わるように思えます。
「世の中の 人の心は 花染めの うつろひやすき 色にぞありける」(古今和歌集 よみ人しらず)
令和四年十一月二日